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ベクトル解析は、電磁気学、連続体の力学などへ応用するために物理学や工学において重要である。それだけでなく、偏微分方程式の理論、微分幾何学、ポテンシャル論などの数学のほかの分野への橋渡しもしている。
ベクトル解析の入門書である本書では、重積分の変数変換の公式、陰関数定理、曲面とその上での関数の積分法などの基礎的事項を解説したあと、グリーンの定理、ストークスの定理、ガウスの定理を証明する。諸概念の説明においては例を多く取り入れ、そのなかで物理への応用の話題にも触れる。また、三つの積分定理をよりよく理解する目的でその応用例もいくつか示す。さらに、平面あるいは空間でのベクトル解析を展開して、曲線、曲面、空間の幾何の深い理解につなげる。空間の曲線と曲面を考え、その曲がり方を表す曲率についての解説をしたあと、グリーンの定理を用い、関連事項を積み重ねて、歴史的に著名なガウス‐ボネの定理を証明する。