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ノンパラメトリックな統計的推測の理論は、母集団の分布を特定しない推測手法であり、特に1960年代以降から研究の進展が著しくみられる。分布を特定しないことから実社会への応用性や汎用性が非常に高く、近年の研究で分布の特定をするパラメトリックな手法とも遜色のない結果が得られることが明らかとなるなど、現在も盛んな研究が行なわれている。
ノンパラメトリック法では標本数を大きくしたときの漸近理論を構築して比較を行うことから、大数の法則や中心極限定理が重要な役割を持つ。本書は、まずそのような基本的な確率統計の準備から始める。その後、「順位に基づく統計法」「統計的サンプリング法」「カーネル法」などの、ノンパラメトリックな統計的推測の分野に於いて重要な役割をもつ理論を概説する。後半では、中心極限定理の精密化である「エッジワース展開」について議論し、多くの統計量に適用可能な「スチューデント化統計量」の正規近似の改良について解説をおこなう。
ノンパラメトリック法の研究を目指す学生や、実務の現場でこれらの手法を利用する研究者などの読者のために、その有用性や理論的背景の理解が深まるように構成した。