土壌動物の多様性と機能解析(生態学フィールド調査法シリーズ 10)

金子 信博 著, 金田 哲 著, 豊田 鮎 著, 占部 城太郎 編, 日浦 勉 編, 辻 和希 編

2,860円(税込)

共立出版

 土壌にはきわめて広範囲の分類群にわたる生物が狭い範囲に生息しており、植物と密接な相互作用を行っている。そのすべての生物間相互作用を明らかにするのは困難であるが、研究の重要度は高まっている。なぜなら、気候変動や外来種の侵入といった人為的な攪乱に対して陸上生態系がどのような反応を示すかを理解するには、植物だけでなく土壌生物の反応と植物と土壌の相互作用を理解する必要があるからである。
 土壌動物の生活を理解するためには、生息場所である土壌環境の把握、主要な餌となっている土壌有機物や土壌微生物の情報を扱う必要がある。また、植物や地上の動物との相互作用についても研究法を学ぶ必要がある。本書ではこれらの点に留意しつつ、土壌微生物と土壌動物を群集として捉えるとともに、野外で土壌生態系がもつ機能を定量化する方法について解説した。具体的には土壌動物の基本的な分類、同定に関する情報、採集法や標本の保存法、そして土壌動物の野外での採集法と分解系の操作実験について扱う。さまざまな分類群、そして地上と地下の生態学的プロセスを調べるには、それぞれの分野の理解が必要であり、研究自体が難しいが、本書がそれぞれの研究分野をつなぐ役割を果たすと確信している。