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解析力学は現在の数学・物理学の基礎となっている題材を豊富に持つ、広大で奥深い体系である。また、数理科学を培った母体ともいえ、その影響は量子力学、電磁気学、相対性理論、統計力学、場の量子論などの物理学の分野から、常微分方程式論、偏微分方程式論、多様体論、リー群論、力学系などの数学の分野にまで広く及んでいる。また、曲面や空間を扱うための記号や基本的考え方は、解析力学の中に自然に溶け込んでおり、数理物理学の基礎を身につけるための格好の題材と言える。
本書では、微積分と線形代数を土台として、古典的な力学の問題から始め、解析力学を通じて古典物理学・近代物理学の入門部分を概観し、数理物理学の基礎的方法を解説する。運動方程式の変換の法則の中から、微分方程式、古典的な曲線論・曲面論での計算法を学び、基礎的な微分方程式の技巧を用いて電磁気学や量子力学、特殊相対性理論の入門部分の知識を身につけていく。初学者にも理解しやすいよう、解析力学独特の専門用語を使うことは最小限にとどめ、できるだけ微積分、線形代数の言葉で記述するよう配慮されている。