多変数の微積分(数学のかんどころ 38)

酒井 文雄 著

2,090円(税込)

共立出版

 自然現象や社会現象の多くは、多変数の関数で記述される。本書で扱う「多変数の微積分」は、空間図形の体積や曲面の表面積の計算などの手法として用いられる重積分計算、制約条件のある極値問題の解法といった、理工系分野のみならず経済学や建築学などとも非常に関係が深い題材を扱うためのノウハウが集積されている。また、多変数となることで、1変数よりも更に多様な平面・空間内の曲線や曲面が登場し、豊かな数学的風景が広がっている。これらは、現代数学の縮図でもあり、応用上も大変重要である。
 本書は次のような点に留意して執筆した。(1) 1変数の微積分における基礎知識を想定している。(2) 図形的な理解が大事であるので、定理や例の説明に300点近くの図を挿入した。(3) 主に2変数の関数を扱った。そこで用いるアイデアの多くは、そのまま3変数以上の関数にも通用するものである。(4) 難易度の高い証明は最終章にまとめることで、まずは多変数の微積分の面白さや基本的な計算テクニックを学べる構成にした。また、理解を深めるために例題や演習問題も多く配置している。
 多変数の微積分の仕組みをやさしく学ぶことが出来る入門書である。