エラーが発生しました。
従来の幾何学では、「点集合」を要素とした幾何学的な理論・手法の開発をしてきたといえる。そこに空間的な概念を据え、関数・ベクトル場・微分形式といった対象物を定義することで、多様体論の基礎概念が支えられ、物理学での相対性理論の飛躍にも大きく貢献していった。物理学ではその後、ある意味で「点」を基礎としない量子論に考え方を大きく変えている。数学についても、これに呼応する”新たな考え方”が期待されるなかで、その候補として研究が行なわれているのが、本書で扱われる、代数構造の変形から生まれる「変形量子化」による「非可換の幾何学」である。
本書では、まず「Pursell-Shanks型定理」などにより、古典的空間概念から非可換空間への移行を図る。次に、「シンプレクティック多様体」とその変形量子化について解説する。最後に、空間概念の量子化の鍵となりうる「ポアソン代数」とその変形量子化について解説する。
さまざまな場の理論を画一的に理解できるようにすることや、非可換場の理論の構築にも期待がされる大きな理論について、丁寧に解説する。