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19世紀から20世紀前半,欧米諸国の衣服や装飾品のデザインや素材には,科学技術の進歩によって革新的なものが生まれ,流行してきた.いつの時代も,その当時の最新技術によるファッションは,悲惨な出来事を引き起こした.本書は,それらを取り上げて,歴史的・社会的背景や,科学的側面とともに示す.それらの出来事に巻き込まれざるを得なかった人々の悲劇的エピソードは,それぞれが胸に迫る.そして,同様の問題は現在も存在することが,具体的な事例とともに指摘される.美しい色や贅沢な装飾の服,帽子,装飾品などの写真と,それらにまつわる悲劇との対比が,たいへん印象的である.
<目次>
序論 現実でも物語でもファッションは死を招いている
第1章 病んだ衣服:細菌や寄生虫との戦い
第2章 毒を含んだ技術:水銀入りの帽子
第3章 毒を持つ色素:ヒ素を含む緑
第4章 色:死をもたらす美しい色たち
第5章 絡まる,窒息する:機械に巻き込まれる事故
第6章 炎に包まれる生地:燃え上がるチュチュと可燃性ペチコート
第7章 爆発するまがい物:セルロイドの櫛と人工シルク
結論 ファッションによる犠牲者を出さない未来へ