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数十年に一度という極端な豪雨は,なぜ頻発するようになったのか.本書ではまず,直近10年の豪雨災害を振り返り,その発生状況を整理する.そのうえで,気象のメカニズムをやさしく説き起こし,豪雨をもたらす要因,線状降水帯や台風と豪雨の関係などまでを解説.また,しばしば豪雨との関係がささやかれる地球温暖化の現状に加え,豪雨に対する地球温暖化の影響を評価する,イベント・アトリビューションによる最新研究を紹介する.気象情報を上手に活用すれば備えができる豪雨.その付き合い方がわかる1冊.
第1章 21世紀初頭に発生した豪雨を振り返る
1.1 気象庁が命名する豪雨
1.2 九州から東北まで広がった『令和2年7月豪雨』
1.3東日本に豪雨をもたらした『令和元年東日本台風』
1.4 西日本等に豪雨をもたらした『平成30年7月豪雨』
1.5 線状降水帯が注目された『平成29年7月九州北部豪雨』
1.6 鬼怒川が氾濫した『平成27年9月関東・東北豪雨』
1.7 広島豪雨をはじめとする『平成26年8月豪雨』
1.8 梅雨末期に新潟と福島襲った『平成23年7月新潟・福島豪雨』
1.9令和と平成、昭和の豪雪
1.10 2010年以前の記録に残る豪雨
1.11 近年多発する豪雨と特別警報の制定
第2章 豪雨はなぜ発生するのか?
2.1 雨のもとになる水蒸気
2.2 水蒸気が液体の水や氷になるためには
2.3 大気の状態が不安定って何?
2.3.1 重い空気と軽い空気/2.3.2 水蒸気は重い?軽い?/2.3.3 水蒸気は莫大なエネルギー
2.4 雲から雨や雪ができるまで
2.5 積乱雲の一生
2.5.1 成長期/2.5.2 成熟期/2.5.3 衰退期
2.6 危険な積乱雲~マルチセルとスーパーセル~
2.7広域に雨をもたらすのは低気圧と前線
2.8 梅雨前線と豪雨
2.9 豪雨といえば線状降水帯
2.9.1 バックビルディングによる線状降水帯の形成/2.9.2宇宙から見た危険な雲「にんじん状の雲」
2.10 地形は豪雨を誘発する
2.11 雲が雲に種をまくシーダーフィーダー効果~
2.12 大気の川~Atmospheric River~
2.13 冬の豪雪
2.13.1 山に大雪をもたらす強い冬型の気圧配置/2.13.2 日本海沿岸に大雪もたらす日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)/2.13.3 太平洋側に大雪をもたらす南岸低気圧/2.13.4 関東甲信の記録的な大雪
2.14 気象災害はいつでも起こりうる
第3章 豪雨を捕らえる
3.1 雨の状況を把握する~アメダスと気象レーダー~
3.2 雨量計の観測と気象レーダーの融合~解析雨量~
3.3 コンピュータを用いた予報~数値予報~
3.3.1大気の流れを“解く”/3.3.2 いろいろな数値予報モデル/3.3.3 アンサンブル予報
3.4 気象情報を活用して豪雨を読む
3.4.1注意報、警報、特別警報/3.4.2 土壌雨量指数/3.4.3 土砂災害警戒情報と記録的短時間大雨情報/3.4.4 顕著な大雨に関する情報
3.5 避難の参考となる警戒レベル
3.6 空を読む
3.7 激しい気象は増えているように見えるだけなのか?
第4章 進む地球温暖化
4.1 似ているようで異なる気候と気象
4.2 地球温暖化とは
4.2.1地球を暖める温室効果/4.2.2 息をするのは大丈夫、問題は化石燃料
4.3 気候はすでに変わってきている
4.3.1 上がり続ける世界の気温と日本の気温/4.3.2 強まる雨/4.3.3 減少する雪
4.4 過去の気候変化を再現する
4.5 将来の気候を予測する
4.6 将来の日本の気候はどう変わる?
4.7 温暖化が進むと大雨は増えるのか
4.8 100年に1度の雨の予測
4.9湿潤域の雨はさらに増え、乾燥域はさらに乾燥化する
4.10 大雪はどうなる?
4.11 人が気候変化を感じることはできるのか?
第5章 近年の異常気象は地球温暖化のせいなのか?
5.1 異常気象とは
5.2 イベント・アトリビューション
5.3 大雨のイベント・アトリビューション~確率的評価と量的評価~
5.3.1 豪雨の発生確率に及ぼす影響を評価する/5.3.2豪雨の量に及ぼす影響を評価する
5.4 イベント・アトリビューションへの期待と課題
6 将来の天気との付き合い方