気候変動に立ちむかう子どもたち 世界の若者60人の作文集

アクシャート・ラーティ 編, 吉森葉 訳

2,090円(税込)

太田出版

学業との両立、親の説得、そして金曜日の勇気。
ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア、アフリカ、オセアニア、南極…
41ヵ国60人の日常と葛藤。

●インドで2,600万本のプラスチックストローを削減した16歳の男の子
●カナダ政府を相手に地球温暖化について訴訟を起こした15歳の女の子
●有機ごみから代替燃料を生む会社を立ち上げた25歳のアフリカの青年 ほか
世界中で動き出した若者たちが綴る、自らの言葉。

「自分が思ってるより、仲間はたくさんいるよ」
――18歳、ニュージーランドの少女

「私たちがchangeなのです。
changeはもう始まっています。
あなたが望もうとも、そうでなくとも」
――グレタ・トゥーンベリ, 2020年

〈「はじめに」より〉
 グレタ・トゥーンベリは、気候変動に抗議する若者の運動の顔となった。しかしグレタは、そのように持ち上げられることを自分で良しとはせず、自分がこの運動のリーダーというわけではない、と明言した最初の人物でもある。
 グレタのストーリーは数多くある中の1つだ。この本はその「数多く」の部分に焦点を当てている。読者は、地球を救うために世界のあらゆる地域で闘っている、41の国の60人の若者たちについて知ることができる。
 若者たちは、世界のあらゆる事柄がつながっているということだけでなく、これまで作られてきたさまざまな分断の橋渡しをしていく方法も心得ている。気候変動を止めるためには温室効果ガスの排出を減らす必要があるが、そこに行き着くためには、社会のもっと根深いところでずっと続いてきたさまざまな不公正を直視し、なくしていくことが求められる。このことを若者たちはよくわかっているのだ。
 若い世代による気候変動に対する抗議運動は草の根的に次々と発生し、何百万人もの人を巻き込み、世界全体の空気を変えるにいたった。気候変動は今後何十年にもわたって、世界中のすべての人々に影響を及ぼす。グレタのストライキはたった1人で始まった――そしてグレタの声を届ける人たちがいたからこそ、多くの若者が、自分も運動に参加してみようという勇気を出すことができた。この本で伝えられる若者たちの声はきっと、さらにたくさんの人々を動かすきっかけになるだろう。
――アクシャート・ラーティ, 2020年4月