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8本の腕と柔軟な身体を使って太古の昔より生存してきたタコ.巨大な脳と優れた眼をもち,知的行動もやってのける.そんな「海底の賢者」とも呼ばれるタコは,どんな生き物なのか.本書では,タコの知性と身体をキーワードに,学習,記憶,道具使用といった知性,タコどうしのつながりや性格から導かれる社会性の特徴,優れた視覚や触腕を使って認識する世界など,いまだ多くの謎に包まれたタコの素顔に迫る.墨色のベールの向こうのタコはどんな姿をしているのだろう.
<目次>
第一章 タコの知られざる素顔
タコの国/タコとは誰か/柔らかな身体/タコの生活史/タコの寿命/渡るタコ/タコのたどった歴史街道/貝家に生まれて
第二章 賢者としてのタコ
一 知性をつくり出すもの(優れた眼と大きな脳/人工知能的脳内回路)
二 学び覚えるタコ(視覚学習と触覚学習/回り道問題/観察学習/学習の脳部位/記憶/日本で解き明かされたタコの学習/道具使用/遊び/野外で見られたタコの遊び(?))
三 タコ研究小史(デビルフィッシュと英国紳士/ナポリで解かれる知性/日本のタコ学徒)
第三章 タコの社会を考える
一 社会的なイカと非社会的なタコ(SNSの中に暮らす親戚/蛸壺にこもるタコ)
二 社会的なタコ(オクトポリスの発見/麻薬で社交的になったタコ)
三 沖縄に暮らす社会性のタコ(小さな甘えん坊/つながりのあるタコ)
四 脳と行動に映し出された社会(社会性と機能局在/組織票本のつくり方/脳組織の観察/熱帯域のタコ/対面実験)
五 タコの性格(タコにも性格があるのか/ウデナガカクレダコに見られた珍事/タコの性格を考える)
第四章 タコが認識する世界
一 視覚の動物(一眼レフカメラとレンズ眼/色覚を欠くタコ/色素胞と体色/中心窩という構造)
二 腕で考える動物(感度良好、八本のセンサー/しなやかに動く腕/二足歩行/触ることで学ぶ)
三 クロスモーダルな知覚(フィオリト博士の実験方法/ウデナガカクレダコの学習実験/タコにコンピュータースクリーンを見せる/見るだけではイメージできない?/タコが暮らす感覚世界)
第五章 タコ学の挑戦ふたたび
一 サル学とのアナロジー(サルとタコと日本人/タコ学の源流)
二 タコの赤ちゃん学(プランクトンの赤ちゃん/タコを育てる/イカ型とタコ型の稚仔/ビラヌエバ博士との交流/新たな離乳食/タコを浮遊させる)
三 未来へ向けて