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雪乃紗衣 著
田舎町に住む小学六年生の拓人は、幼い頃に神隠しに遭い、その間の記憶を失っている。そんな拓人の前に、弓月小夜子と名乗る、年上の少女が現れた。以前、拓人の母とともに三人で暮らしていたことがあるというが、拓人はどうしても思いだせない。母の入院のため、小学生最後の夏休みを小夜子(サヤ)と過ごすことになった拓人。だが、サヤはなぜか自分のことを語ろうとしない。拓人の記憶に時折よぎるのは、降りしきる花びらと、深山で鳴りつづけるバイオリンの音、月が狂ったように輝く海――なぜ俺はサヤを忘れてる?
《彩雲国物語》の著者が描く、やるせないほど切ない夏の物語。