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直接推定法のための手法や調査・理論を論考 / TACに基づいた資源・漁業管理の実施に向けて重要視される直接推定法。そのための最新技術を取り入れた音響・工学的手法・生物サンプリング手法・さらに調査理論といった分野の現状と問題点。
1996 年に日本も国連海洋法を批准し,わが国の排他的経済水域内の水産資源については適正に管理する義務が生じた.現在,重要水産資源についてはすでに漁獲可能量(TAC)による管理が開始されている.適正な資源管理のためには,その基礎となる資源量および生物学的許容漁獲量(ABC)の推定が正確になされなければならない.
これまで多くの漁業資源で,資源量の推定は主に漁業からの情報に基づいて行われてきた.しかしながら,TAC に基づいた資源・漁業管理が行われると,漁獲量は制限を受けるため資源量の指標とはなりにくいので,漁獲情報の資源情報としての価値の低下が予想される.このような状況下において,漁業と独立して,迅速かつ精度の高い資源情報を提供できる可能性をもつ直接推定法の役割が重要視され始めている.
そこで,1999 年 9 月 29 日に日本水産学会秋季大会でシンポジウム「TAC 管理下における直接推定法-その意義と課題」を下記のような内容で東北大学において開催した.本シンポジウムの目的は,直接推定法のための最新技術を取り入れた音響・光学的手法,生物サンプリング手法,さらに調査理論といった分野の現状と問題点を討論することによってこの分野の意義を問い直し,今後の展開を考えることであった.
(中略)
本書は当日の講演内容に質疑応答の趣旨を考慮して執筆し,編集したものである.本書が今後の資源現存量の直接推定法の発展,ひいては資源評価・資源管理の精度向上に大きく寄与することができれば望外の喜びである