手術におけるVRアプリ「HoloEyes」の可能性/HoloEyes株式会社[全6頁]

映像情報メディカル編集部

500円(税込)

産業開発機構株式会社

手術は見えないとの戦いという側面をもっている。たとえば、肝臓がんの手術の時は腫瘍の周りをマージンを取って切る必要がある。しかし切り取った部分を体外に取り出して中を割ってみるまでは、マージンが確保されたかの確認はできない。また、切り取る範囲も血管の走行などを目印にして把握する必要がある。現在の手術は低侵襲治療化が進んでおり、腹腔鏡の手術もしばしば行われている。患者のダメージは減る方向に向かっている一方、全体が見えない中での手術となるので術者の負担は大きくなってきている。手術では腫瘍の位置や血管、神経、骨などの組織を立体的な構造として把握する必要があるが、DICOMビューアを用いて複数の2 Dのモニタに同時に複数の方向でスライスしたCT画像を表示する方法、ボリュームレンダリングやポリゴンで3次元構築をするなどの手法があるが、いずれも2 Dモニタからの表示情報を元に頭の中で3次元の構造をイメージしているのが現在の状況である。一方、手術中ではステレオカメラを使用した左右の映像を専用の偏向レンズの眼鏡をかけ、左右の目にそれぞれ別の映像を見せることにより奥行き感をもたせる3D腹腔鏡も活用されており、一旦3D腹腔鏡に慣れると通常の腹腔鏡には戻れないといった医師もいるほど活用されている。奥行き感があると、血管などの組織が奥行き方向に並んでいたとしても容易に判断がつく。また、外科手術ロボットのダ・ヴィンチも3Dカメラを採用し直感的な操作感をもたらしている。ステレオカメラはリアルタイムで術野を見ることができるが、DICOMビューアと異なり全体の構造を俯瞰してみたり、特定の血管の3次元構造を追いかけて見たりすることはできないため、DICOMビューアのように3次元構造をさまざまな角度から
見ることはできない。