フォトンカウンティング技術を用いたマンモグラフィの有用性/長屋重幸[全6頁]

映像情報メディカル編集部

500円(税込)

産業開発機構株式会社

乳がんの罹患数、死亡数は増加の一途をたどっている。わが国の対策型乳がん診受診率は諸外国に比べて低く、死亡率の増加に歯止めをかけるための検診受診率の増加は大きな課題である。一方、国民の間では、医療被ばくを含めた放射線被ばくへの関心が高く、放射線感受性の高い乳房に対して、経年的に撮影を行う上でも個々の利
用者の放射線被ばくの管理はきわめて重要である。また、高濃度乳房ではマンモグラフィ検診の感度が低く、乳がんの罹患リスクが高いとされている。米国では近年マンモグラフィ検診受診者に対して乳房の構成を通知する活動が広がり、高濃度乳腺の割合が高いとされている日本でも、対策型乳がん検診において乳房の構成を通知するか否かが問題となっている。関連学会および団体から提言が示され、厚生労働省においても、乳がん検診における「高濃度乳房」への対応について議論されはじめており、今後の対策型乳がん検診の方向性が示されるであろう。聖隷淡路病院では、乳がん検診の利用者の増加を図り、地域社会の医療と健康に貢献するために、フォトンカウンティング技術を使用したマンモグラフィ装置である『MicroDose SI』(株式会社フィリップス・ジャパン)を導入した。われわれが本装置を選定し導入した大きな理由は、①フォトンカウンティング技術を用いた本装置はきわめて被ばく線量が少ないこと ②マンモグラフィから乳腺量に関する情報(乳房体積、乳腺体積、乳腺密度)が得られることである。MicroDose SIの原理と特徴、「対策型乳がん検診」として撮影したマンモグラフィから得られた結果として、被ばく線量と乳腺量に関する情報(乳房体積、乳腺体積、乳腺密度)について報告する。