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■三国志に“もう一つの視点を提供する”1冊
『演義』と『正史』の違いだけでなく、多数の歴史書から“三国時代の実際”を解説していく。
『演義』はあくまでも物語だが、『正史』だけ歴史の真実ではない。
なぜなら陳寿も西晋の権力者に問題があることは書けなかったからだ。
「大三国志展」で学術アドバイザーを務めた著者が、曹操、劉備、諸葛亮などの群雄の実像から、三国時代の社会についてまでを広く紹介していく。
・実は『正史』は蜀を正統な漢王朝とし、呉は地方政権扱いにしている!?
・三国時代をもたらしたものは気候だった!?
・曹操にとって袁紹は“仲間”ではなく、“頭が上がらない庇護者”だった!?
・董卓はやりたい放題どころか、針のむしろ状態だった!?
・群雄割拠の時代を主導していたのは、袁術だった!?
・黄巾賊の残党を上手く利用できた者が生き残った!?――青州兵に東州兵
・蜀は商業立国だった!?――三国志の貨幣
・日本の税体系の基本は曹操が作り上げた!?
・諸葛亮と蔣琬、費禕・姜維政権の違いとは?――孔明死後の三国志
■目次
第一章 正史『三国志』と小説『三国志演義』
・「同時代史」の歴史書―『三国志』
・「蜀漢は正統であるか?」―陳寿の情念と三国のランキング
・陳寿『三国志』は“三国時代ダイジェスト”
・王沈『魏書』について
・魚豢『魏略』について
・韋昭『呉書』について
・裴松之とその注
・鼓吹曲と歴史書
・歴史から小説へ(宋~元)
・『三国志演義』
・〔追記一〕三国志と日本
第二章 後漢末期の混乱と曹操の登場
・三国時代の気候―進行する寒冷化
・三国時代の人口
・後漢末期の混乱―外戚・宦官・官僚の三つ巴バトル?
・祖父と孫―曹騰と曹操
・党錮の禁
・黄巾の乱
・“戦下手”?劉備
・“義兄弟?”劉備・関羽・張飛
・黄巾の乱収束後の混乱
・何進の登場と西園軍・牧伯制の導入、そして劉焉の入蜀
・何進の横死と宦官誅滅
第三章 西暦一九〇年代の主役―袁紹と袁術
・董卓の登場
・反董卓同盟軍の動向と董卓の戦略
・三国時代の貨幣論―「お金がない?」
・辺境の安定政権―公孫度と士燮
・反董卓同盟軍の空中分解
・董卓の死、そして曹操による「青州兵」“獲得”?
・袁紹・袁術の争いと劉虞の死
・曹操の大失態―徐州大虐殺
・劉焉・馬騰・韓遂の長安襲撃失敗と劉焉の死、そして劉璋政権の成立
・曹操の天子奉戴
・屯田制
・袁術・袁紹・呂布の動向
・『三国志』と仏教
第四章 官渡と赤壁―曹操の覇権と新世代の登場
・公孫瓚の死と官渡への道
・袁紹の死と曹操の河北平定、そして劉表・公孫度の動向
・三顧の礼と諸葛亮
・劉表と“後継者”曹沖の死、そして赤壁へ
・「赤壁」後の動向
第五章 遅れてきた「大物」・劉備と三国鼎立
・曹操の馬超討伐と劉備の益州出撃
・劉備の益州征服と曹操の転戦
・曹操の張魯征伐と道教
・荊州をめぐる冷戦
・曹操の魏王昇格と後継者問題、そして荊州をめぐる三つ巴バトル
・三国時代の「酒」
・三国時代の麻薬
・漢中王・劉備と関羽の“北伐”
・孫権の「裏切り」と関羽の死
第六章 「丞相」・諸葛亮の時代
・九品中正法の制定
・二帝並立と陳寿の記述
・関羽の仇討ち?―夷陵の戦い
・劉備の死と諸葛亮の政権掌握
・「君便ち自ら之を取れ」―張昭の場合
・諸葛亮の「独裁」体制の確立
・諸葛亮の南征と“西南シルク・ロード”
・そして、北伐へ
・諸葛亮の北伐戦略とは?
・第一次北伐と魏延の戦略
・「街亭」後の北伐
・涼州情勢の変化と五丈原の戦い―諸葛亮最後の賭け
・諸葛亮の軍事技術開発
第七章 司馬氏の台頭と三国時代の終焉
・諸葛亮没後の蜀漢―蔣琬政権の確立
・公孫氏政権の滅亡―「四国時代」の終焉
・邪馬台国・卑弥呼と三国の対外関係
・走馬楼呉簡
・呉・蜀漢の北伐体制と魏の曹爽・司馬懿政権
・蜀漢・西暦二四一年の北伐計画
・西暦二四三年―蔣琬政権の実質的終焉
・曹爽の専横と呉の後継者争い
・正始の政変
・司馬懿と孫権の死、そして呉と蜀漢の北伐
・司馬氏の権力確立と呉の混乱
・呉・蜀漢同盟の“密約”
・蜀漢の滅亡と魏晋禅譲
・晋の統一
■著者略歴
満田 剛(みつだ・たかし)
1973年秋田県横手市生まれ。創価大学大学院にて、中国・三国時代の史学史を専攻。2014年まで創価大学文学部の非常勤講師として教鞭をふるう。また、創価高等学校の教壇にも立っており、現在公益財団法人東洋哲学研究所委嘱研究員として研究を続けている。また、2008年から2009年にかけて全国7都市で開催された東京富士美術館などでの「大三国志展」では学術アドバイザーとして監修を担当。
著書に『三国志 赤壁伝説』(白帝社)、『三国志 最強武将Top45』(ユナイテッド・ブックス)、『新説 「三国志」の虚構と真実』(小社)など、監修に『図解 三国志 群雄勢力マップ 詳細版』(スタンダーズ)がある。
Twitter:@tmitsuda3594
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本書は白帝社から2006年に発行された『三国志 正史と小説の狭間』に加筆・再編集したものです。