フェロモンセンサー鋤鼻器 : フェロモンはいかにして受容されるか

市川 眞澄著

1,430円(税込)

フレグランスジャーナル社の単行本

一般に匂い物質は、鼻の中にある嗅覚器で受容されますが、フェロモン物質は特殊な感覚センサーと呼ばれる鋤鼻器(ジョビキ)で受容されます。 生物は、外界からの刺激を受け素早く反応し、生き延びていく能力を備えています。この刺激には、物理的(視覚・聴覚)と化学的(嗅覚・味覚)に分かれ、フェロモンは「生物の個体から放出され同種個体に特異的に反応を引き起こす化学物質」として鋤鼻器に作用します。1950年ドイツのブテナンにより50万匹のカイコから誘引物質「ボンビコール」が発見され、ノーベル賞を受賞したことはよく知られています。このほか、アリの道しるべフェロモン、キクイムシの集合フェロモン、ミツバチの警報フェロモンなどが知られています。 鋤鼻器は、1811年ヤコブソンにより発見されたことからヤコブソン器官とも呼ばれています。鼻腔中央の鋤骨に付着する鋤(スキ)に似た形状から鋤鼻と名付けられました。鋤鼻器はフェロモン物質を感知し、育児や生殖行動などで重要な役割を演じています。 本書では、多様なフェロモン情報が鋤鼻器でどのように受容され、脳内でどのように働くか、などのメカニズムについて鋤鼻器研究の第一人者である著者20年来の研究成果と苦労話やエピソードが詳述されています。鋤鼻器に関する書籍としてはわが国初の解説書です。