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橘(たちばな)を通して日本文化、魂の故郷の再発見。たとえばお正月の鏡餅の上に何故ミカンを置くのか。右近の橘、 左近の桜にはどのような意味があるのか。本書は、このような何 気ない日本の伝承にもとても大切な意味が込められていることを解き明かします。 橘は、沖縄に産するシークァシャーと並んで、日本原産の柑橘種です。古代日本人は「トキジクノカグノコノミ」(永遠に香っている果実)と呼び、大変神聖視してきました。著者は橘のフィールドワークを通して、日本文化に深く関わる橘の伝承を調査し、古代日本人の世界観や宗教観に、嗅覚的なことがどのように関わっているかを考察しています。それは橘による香りの民俗学ともいえるものであり、このような嗅覚的な面からのアプローチは、本書がはじめての試みといえます。