香り分子で生物学を旅する : 嗅覚と科学のファンタジー

大瀧 丈二著

1,540円(税込)

フレグランスジャーナル社の単行本

香りが鼻の中に入り、匂いを感じるとき、いったい何が起こっているのでしょうか。世界に先駆けて匂い受容体の機能を解明した著者が、鼻の中の分子の動きを丁寧に説明し、教科書には書かれていない興味深い視点を提供します。嗅覚などの感覚によって構成される認識世界は、感覚器から得られた情報が脳で再構築された虚構あるいはファンタジーであると著者は主張します。香り・匂いの世界は生命とは何かを考えるための絶好の題材として取り上げられており、本書は具体的なトピックを取り扱った現代生物学の入門書としても画期的な試みだといえるでしょう。 アクセル教授やチャルフィー教授など、著者の恩師であるノーベル賞受賞者について人物像を紹介するとともに、現代社会の中での科学のありかたも提言しています。