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幕末、志半ばで幕府により弱冠29歳で処刑された「吉田松陰」という「革命家」がいた。日本の現状を憂いながら全国を旅して幕府の対外政策を批判し、故郷萩に「松下村塾」を開塾した。弟子には、高杉晋作・久坂玄瑞・入江九一・伊藤博文・山県有朋・品川弥二郎などがおり、明治維新の原動力となる思想的指導者であった。松陰の人気は彼の純粋さにある。革命混乱期に私心なく、老獪な政治的配慮もなく、ただひたすら、信ずる道を生ききった男は珍しい。そんな松陰の魅力と生涯をイラストと文章で紹介したのが本書である。まず、イラストが素晴らしい。このビギナーズシリーズを有名にした貝原氏の初期の作品だが、今更ながら彼の諧謔性に富んだ表現力は必見の価値がある。文章も分かりやすい。
解説は、いま、日本で最大のリベラル派とも言うべき、鈴木邦男氏が長文の松陰論を展開している。大河ドラマの関連書というよりも、現在の日本の政治を変えようとする人の必読書だと思う。
帯に直木賞・吉川英治文学賞・NHK放送文化賞等受賞作家・高橋克彦氏の檄文あり。