幸福はなぜ哲学の問題になるのか

青山拓央

太田出版

幸福とは何か。
いかにして幸福になるか。
そして、なぜ幸福になるべきか。

幸福とは何かを、ただ一つの答えがないことを含めて、
読者とともに考えていく本。
お仕着せの幸福論に、満足できなかった方に。

出版社からのコメント
■本書は以下のように語り起こされます。
「「幸福とは何か」という問いへの答えは、それがどんな答えであろうと反発を受けることが避けられません。断定的な答えはもちろん、幸福とは人それぞれのものだといった答えでさえ、批判を避けられないのです。
その理由は、「幸福」という言葉が多義的でありながら、他方でその多義性を自ら打ち消し、私たちを均質化しようとする奇妙な力をもっているからです。」
■「いかに生きるか」「今後どのように生きていけばよいか」、と思い悩むのは、青春期に限らず、誰にとっても親しい経験です。
■巷にあふれる「幸福論」は、どこか得々として、幸福やその処方箋を語ります。その自信に満ちた語り口にもう一つ説得されない、という人もあるでしょう。
■本書は、真に哲学的な、期待を裏切らない、熟読に耐える幸福論です。
■幸福を論じる三つのポイント、「幸福とは何か?」「いかにして幸福になるか?」「なぜ幸福になるべきか?」──これらを丁寧に論じていきます。
■本書は幸福について、哲学の立場から論じる本であり、幸福とは何かを──なぜその問いに十全な答えがないのかを──読者とともに考えていく論考です。
■議論はあくまで平易に、また、以下の著作(*)を縦横に参照し、哲学ならではの冷静さを保ちながら、読者が「幸福」をめぐる落とし穴に気づくよう、確かな手掛かりを与えます。
■生きることの目標は、「賞賛されるべき人生ではなく、祝福されるべき人生を生きる」ことです。

(*)アリストテレス『ニコマコス倫理学』/トマス・ネーゲル『コウモリであるとはどのようなことか』/永井均『マンガは哲学する』/柏端達也「幸福の形式」/デレク・パーフィット『理由と人格』/池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』/石井光太『絶対貧困』/阿部彩『子どもの貧困』/戸部けいこ『光とともに…』/赤塚不二夫『天才バカボン』/手塚治虫『火の鳥』/吉川浩満『理不尽な進化』/古今亭志ん生『びんぼう自慢』/キース・リチャーズ『ライフ』/デール・カーネギー『人を動かす』/羽生善治『大局観』/ミラン・クンデラ『可笑しい愛』/中山康樹『マイルス・デイヴィス』/野矢茂樹『論理学』/ミヒャエル・エンデ『モモ』/東浩紀『弱いつながり』/ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』/千葉雅也『別のしかたで』/入不二基義『足の裏に影はあるか? ないか?』/大崎善生『聖の青春』/末井昭『自殺』/中島義道『不幸論』/ウィトゲンシュタイン『哲学探究』/ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』/児玉聡『功利主義入門』/坂口安吾『堕落論』/筒井康隆『モナドの領域』/九鬼周造『偶然性の問題』/入不二基義『あるようにあり、なるようになる』/佐々木敦『あなたは今、この文章を読んでいる。』/永井均+入不二基義+上野修+青山拓央『〈私〉の哲学 を哲学する』/筒井康隆『夢の木坂分岐点』