抵抗論

辺見庸

800円(税込)

鉄筆

辺見庸・初の電子書籍! 逆走する世界に抗いつづけるための論考・エッセイ集「抵抗三部作」の第三作。
被爆した死骸への想像力をたくましくすること。国家の発想を徹底的に排除すること。孤立を怖れないこと。母や子らの死骸に寄りそうて世界を考えること。――アフガニスタンやイラクへの侵略戦争と日本によるそれらへの加担に反対する根拠は、別して憲法にあるだけではない。憲法以前の、人間的判断が常に先に立つのだ!
「メディア知や国家知を徹して疑う。怒りの内発を抑えない。一人びとりが内面に自分だけのそれぞれに質の異なったミニマムの戦線を築く。そこから街頭にうってでるか。いや、いや、街頭にうってでるだけが能ではなかろう。どこにも行かずひたすら内攻し、その果てに日常にクラックを走らせるだけでもいい。この壮大な反動に見合う、自分独自の抵抗のありようを思い描かなくてはならない。」(本文より)
『サンデー毎日』連載「反時代のパンセ」他に加筆・訂正し2004年3月毎日新聞社より四六判刊行、2005年11月講談社文庫より刊行。

1 抵抗はなぜ壮大なる反動につりあわないのか――閾下のファシズムを撃て
2 憲法、国家および自衛隊派兵についてのノート
3 実時間の表現/動員と統制/軽蔑/キンタマ/自分のファシズム/夢の通い路
4 もっと国家からの自由を――闘いとるべき「知」の境界
5 マスメディアはなぜ戦争を支えるのか/言論の闘いに〝時効〟はない/抗暴とはなにか/記憶殺しと記憶の再生/あの声、あの眼/空とブルカと箱写真/破片
6 危機の認識と抵抗のありようについて
あとがき