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今回の特集では、論文という形式にさえこだわらず、生活史の語りを使ってそれぞれが自由に、「もっとも書きたいことを書く」ということをめざした。
(中略)
私たちは、それぞれの調査のなかで、さまざまな人びとに、そして語りに出会ってきた。
語りというものは、切れば血が出る。それは生きているのだ。
私たちがおこなっているのは、そこで暮らし、生活している個人に直接お会いして、その言葉を聞き取るという作業である。
もちろんトラブルも多いし、相手を傷つけてしまうこともある。また逆に、自分たちが傷つくこともある。
しかしそれでもなお、フィールドワーカーたちは現場に赴き、人びとと会おうとする。
それは、人びとの声というものが、思想や理論の言葉よりも、「よりリアルで、おもしろい」からである。
(岸政彦 「特集によせて 人に会い、語りを聞く。そしてそこから、社会を考える」より)
【特集】生活史 (岸政彦 編集協力)
岸政彦
特集によせて 人に会い、語りを聞く。そしてそこから、社会を考える
上間陽子
キャバ嬢になること
朴沙羅
生活史における「事実」のために
齋藤直子
一九年前の調査を読み直す
石岡丈昇
ボクサーと言葉
山北輝裕
モクモクの部屋で人生を聞く――ある野宿経験者のお話
川端浩平
帰化と放射能汚染
岸政彦
タバコとココア――「人間に関する理論」のために
【連載】
柄谷行人
Dの研究(第6回) 社会主義の科学(その二)
動く人(第7回)
砂川秀樹 活動の当事者は「アイデンティティ」に依らない
大澤真幸
可能なる革命(第20回)
Review of the Previous Issue
大澤聡 Re:機能性文学論
『atプラス』28号に書いた/語った人たち
編集後記